【世帯分離】とは、1つの家に同居しつつ、住民票の世帯を2つ(親と子、夫婦間など)に分けることをいいます

うーん、別々に住んでる人だけじゃなく?
同居していても世帯を別にできるの?

そうなんです!中には離婚しなきゃいけないの?とか、親子の縁を切るってこと?!
なんて誤解をしている人も見かけますね
今回は世帯分離するメリット・デメリットをご紹介しますね

世帯分離とは?
世帯分離とは、住民票に記載されている1つの世帯を2つに分けることを指します。
例えば、このご家庭を例に説明します

東京都在住・自営業を営むけあまる太郎(世帯主62歳・給与収入400万円)
妻・けあまる花子(58歳、パート収入100万円)
太郎の父・けあまる松之助(85歳・年金収入35万円・要介護3)
以上の3人で1世帯のけあまる一家を世帯分離して、「けあまる太郎さん(世帯主)、けあまる花子(世帯員)」と、「けあまる松之助(世帯主)」の2つの世帯に分けました
世帯分離するメリット
介護保険料が安くなった
父・松之助の介護保険料が今までは年64,951円かかっていたところ、21,650円になり、
43,301円もお得になりました
介護保険料の計算方法
松之助さんは65歳以上なので、保険料は第1号保険料と呼び、前年の所得に応じて9段階(市区町村によって段階数が異なる場合あり)に設定されています

数字がいっぱいでややこしいぞ

松之助さん一人世帯だと年金収入の36万円なので
表でいうと第一段階に該当するわね

保険料基準額って?
保険料基準額はこの計算方法で算出されています

この基準額6,014円に、先ほどの表で第1段階と判明したので、0.3をかけて、介護保険料が1,804円/月なので、年間21,650円となりました
太郎さんと同居していたときは第4段階なので、0.9を掛けていたから、64,951円も年間支払う必要があったんですね
ちなみに厚生労働省HPによると、保険料は介護保険法に基づいて、3年に一度は見直しが実施されていますが令和7年度には、全国平均で8,165円に値上がりする見込みだそうです。135%UPですよ?
介護保険を利用した介護サービスの支払いが安くなった
松之助さんはデイサービスや、ショートステイを度々利用しており、月額14万円の支払いがありましたが、世帯を分けたことで6万円程度に下がりました
介護保険サービスに支払う費用(自己負担分)割合
自己負担額は介護保険サービス料の1割が基本なのですが、収入・世帯構成次第で2・3割になります
3人が1世帯だった時は3割負担でしたが、松之助さん1人世帯は1割負担になるのです
住民税を払わなくても良くなった
東京23区の例では、前年の合計所得金額が35万円以下であれば、非課税となります
松之助さんの年金額は年35万円でしたので、非課税世帯となります

住民税非課税世帯のその他のメリット
NHK受信料がタダになる場合も(住民税非課税世帯本人或いは家族が障害(身体障害・知的障害・精神障害)を持っている人が世帯にいる場合に、「NHK受信料」の全額免除を受けられます。
後期高齢者医療制度の保険料が安くなった
75歳になると国民健康保険から脱退し、「後期高齢者医療保険」で医療を受けることになります
松之助さんの場合は一般所得者等に該当するため、自己負担割合は1割となります


世帯分離をする前は3割負担か、、
えらい出費になるね
国民健康保険の保険料が安くなった
減額(減免)制度とは、所得に応じて国民健康保険の保険料が2割から7割まで減免する措置となります
注意:国民健康保険料に関する申告書を必ず提出すること
提出しないと、収入の判定ができないため、軽減が適用されず、自己負担限度額が高くなるといった不利益が生じる場合があります。 前年度において、国民健康保険税の軽減が適用された場合でも、当該年度に世帯主、加入世帯員に一人でも未申告の人がいると、軽減が判定できないため、適用を受けることができません
ちなみに介護離職し、無職になった時に私自身も申告して減額してもらいました
病院の診療・窓口での支払いが安くなった
医療費の月額が、ある一定程度を超えた場合に受けられる、「高額医療費」の減額制度が発生する制限金額が低い金額で受けられる
入院費用の支払いが安くなった
・入院時の食事代(一般の収入の世帯の方460円/1食のところ、最低100円になる
・差額ベッド料(これは誰にでも当てはまるが、大部屋5人以上は差額ベッド料はなしだが、満室で入れない場合は患者の意思に反して請求できないことになっています)
こちらは厚生労働省からの文書です。めっちゃ長くて読みたくない文章ですが、4ページ目の後半に通常の診察室が空いていない等の理由により 特別療養環境室での受診が求められることのないようにしなければならないと明記されています
国民年金の掛け金を払わなくても良くなった
世帯を分離し、所得が低くなった松之助さんは保険料を納めることが困難となり、申請することに
全額免除
松之助さんはこれに該当しましたので、全額が免除になりました
※デメリットとしては免除された分年金額が低くなります
一部免除
納付猶予
学生納付特例
このような制度を知り、年金が支払えない場合は放置せず届出を出すことで、将来もらえる年金額が増えることもあります
高額介護合算療養費制度の支給額が増える

高額介護合算療養費制度とは、医療保険と介護保険における1年間(毎年8月1日から始まり翌年7月31日まで)の医療保険と介護保険の自己負担の合算額がめっちゃ高かった場合に、自己負担額を軽減する制度のことをいいます。申請をすることによって負担額の一部が払い戻されます
医療サービスは医療保険者へ、介護サービスは介護保険者へ申請して、世帯の年間限度額を超えた額は高額介護合算療養費として支給されます
支払い窓口が違うため、両方の窓口の手続きが完了しないと支給されません

結構面倒な申請だね、、
世帯分離するデメリット
世帯の中に2人以上要介護者がいる場合
「高額医療サービス費が支給される負担上限額」が「世帯」でカウントされるため、要介護者が世帯に1人でも5人でも負担上限額が変わらないため、世帯分離をすることで自己負担額の上限が上がってしまい、更に費用が増す場合もあります
なので、「保険料」「負担上限額」「住居費」「食費」など、個人と世帯の両方のバージョンでシュミレーションし、メリットがある方を選択する必要があります
世帯を一度分離したとしても、また合併も変更も可能です
手続きが大変
ここまで読んでいただいた方は薄々気づいていると思いますが、分離した方の分も手続きが増えます
本人が手続きができない場合は家族の手伝いが必要です
お金のためと思って頑張りましょう
扶養手当や扶養控除がもらえなくなる
勤務先などで扶養手当を受給している場合や、所得税の扶養控除をしている場合は
世帯分離すると手当がもらえなくなります
世帯分離で得られるものと得られなくなるものを把握して、比較してから決めましょう
まとめ
それぞれのご家庭の状況でメリット・デメリットはありますが、
私のように、低所得の高齢者で要介護の家族がいる場合は、世帯分離した方がメリットがあると思います
そして、この記事を書いていて思ったのはつくづく日本の制度の仕組みが複雑だということです
税金に関しては控除とか減額とか減免とか、利用者の負担が軽くなるものは申請が面倒だし難しいため、申請をしていない人が多いと思います
ただ、必ずメリットはありますので、この仕組みを家計に組み込んでしまえば、日々やることは特にないんです
こまめに電気を消したり、コンセントを抜いたり、風呂の水を何度も沸かしたり….
そういった細かい節約よりも、一度で大きな額を節約することができます
どうせやるなら、このような額が大きい節約方法を優先的に行使して、少しでも快適に暮らしつつ、手元にお金を残す家計の仕組みを作りましょう
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